小さな田舎町の酒屋さん

焼酎、というかお酒全般のバックグラウンドにはそれぞれ造った人の想いや費やした時間が必ず存在している。今の時代ネットでも簡単に手に入るが、お酒が好きな僕にとってはそのお酒のバックグラウンドのよもやま話も酒の肴にして飲みたいと思ってしまう。だから一番最良の購入方法は造っている人から買うこと。とは言え全部が全部はなかなか難しいので、今のところは酒屋さんで購入するのがベターである。

山梨にいた時はお気に入りの酒屋さんまで車で1時間以上かけて買いに行っていた。なぜかというとそこの酒屋さんに置いてある焼酎はその店の店主が九州まで足を運んで蔵を巡り仕入れて来た焼酎がたくさん並んでいたからだ。その仕入れの時の話を店主から聞けることも楽しみの一つだった。実際には配達だったりでなかなか話が出来なかったのだが、話を聞けた時は実際には1300km以上も離れている鹿児島の造り手との距離がとても近く感じた。

僕が今いるいちき串木野市でお土産に焼酎を買いたいという人がいた時に必ず連れていく酒屋さんがある。

その店の三代目女店主は脱サラして実家に戻り家業を継いでいるとてもパワフルな人である。このお店には店主が九州各地の蔵を周り自分で味を確かめ直接交渉して仕入れているお酒が多数並んでいる、俗にいうこだわりの酒屋といった感じだ。たまにお邪魔しては仕事の手を止めさせてしばらくの間おしゃべりをしてしまう、内容のほとんどが日々生きていく中での小言なのだけれど、そんな他愛もない話ができるのも地域に密着している酒屋さんならではなのかなと思う。

店主のお父さんお母さんもとてもお元気で、お店の中に3人揃う時はとても場が賑やかになって楽しい。余談だが、お父さんがお風呂で体を洗う時はいつも牛乳石鹸の赤だそうだ。

全国的にもこうした丁寧な酒屋さんは減少してきているのだろうなと感じる。けれども、地域に溶け込み、置いてあるお酒の1本1本に愛情を注ぎ、毎日笑顔で接客する。お店にとっては普通の事をしているだけなのかもしれないが、自分の住んでいる町にこの様なお店があることは嬉しく、とても幸せなことだと思う。

またも余談だが、最近ぼくのわがままにより山梨の甲州ワインを取り扱ってもらう様になった。焼酎とワイン、どっちの地元のお酒も楽しめる僕は幸せ者である。


林酒店

鹿児島県いちき串木野市西浜町143

日曜日定休

0コメント

  • 1000 / 1000