すれ違いの店
行くタイミングと休みのタイミングが合わないお店というのはたまにあるもので、行ったら定休日だったり、その日だけたまたまお休みだったり。
鹿児島市にあるルカドーというパン屋さんがまさにそんな感じで未だにあの写真で見る美味しそうなハード系のパンは食べる事ができていない。そして、ぼくが住んでいるいちき串木野にも同じような理由でしばらく行けなかったお店がある。
サクラカネヨ直売市の時にパラゴンのユーキ先生から紹介してもらい、「次はお店に遊びに行きますね!」と元気よく言い放ったのだが、なんだかんだ1年近く経ってしまっていた。
店舗外からの見た目はとてもおしゃれかつハイセンス、お店の前に行くといつもCLOSEDの看板が立っていて、周りから見て怪しまれないようにチラチラと店内を覗いた。そんな事が3回ほど続いたであろうか。やっと歯車が噛み合ったのか、お店のガラス戸が開いていたので店内へ入ると、以前会った時よりもさらにモジャモジャ感が増したヘアスタイルの店主が「やっと来たね」と言って出迎えてくれた。
その日はそこにしか売っていないティーシャツを買いに行ったのが目的だったが、「いや、実は来る度にお店が閉まっていたんですよね」という話から町の裏情報まで延々と3時間くらいは喋っていただろうか。忙しいところへ行って延々と喋ってと、ちょっと厚かましいな自分。と思いながらもなんとも清々しい充実感に包まれながら店を後にした。
それからは味を占めたようにしばしばとお店を訪れては長々と世間話をするようになった。毎回時間を忘れて長話をしてしまうのは店主の優しい人柄、奥さんの笑顔、店内に漂う優しい空気、全てが心地良いからなんだと最近思う。現にぼくが訪れている間にも様々な人たちが会話を楽しみに来ているような感じでお店を訪ねてくる。
人々の生活に寄り添うように安らぎと安心を与えてくれる、そんな場所を日々守っている、みんなにとって、それはありふれたいつもの風景なのかもしれないが、その風景をいつも感じていられることはとても偉大なことなのだと思う。この店が日常をつくり出し、それがかけがえのないものになっていることは確かである。
Teboya
〒896-0055 鹿児島県いちき串木野市照島5085−1
※木曜日定休
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