Friandise’s

鹿児島へ越してきてしばらくし、家の近くにパン屋が多い事に気がついた。

車で走っている時や夜の飲み会の帰りに気づいたり今確認している限り4店舗のパン屋さんがある。

パン好きな僕にとってこれはとても嬉しい事なので、休日になると散歩へ出る目的地としてリサーチ済みのパン屋へ訪問するという変な楽しみを見つけて楽しんだ。

4店舗目のヱビスヤを見つけた時は正直「昔はパン屋を営んでいたけれど今はやっていないんだろうな」と思う外観だった。その後も何回か店の前を通ってみたけれど残念ながら商売をしているという雰囲気を感じない。しかしある日の午前中ヱビスヤの前を通ると薄茶色のガラスの向こう側にたくさん並んでいるパンらしきものを発見した。「これはひょっとすると。。」と考えてからすぐに次の休日の散歩の予定を組み立てた。

僕が通っていた高校には購買があり、開店の午前10時には文房具と一緒に近所のパン屋のパンもそこには並び、だいたい2限目が終わったくらいでお腹を空かせた学生たちやお昼のパンを買う学生が購買へ行くのが定番となっていた。僕も毎日とは言わなかったが週に何度かは購買へパンを買いに行った。

お店のスタイルなのか高校生のお腹を満たす為の優しさだったのかは定かではないが、惣菜パンの具は超大盛りでパンからはみ出しそうな程というかはみ出しているものが多かった。コロッケパンに大量に入っている千切りキャベツをぽろぽろとこぼしながらよく食べていたな。と、懐かしいカセットテープを見つけた時のような感覚で思い出した。

少し躊躇しながらもヱビスヤのドアを開けて中へ入ると店員さんの姿は見えなかった。奥から話し声が聞こえるので作業中なんだろうなという確認をしつつパンが並んでいる棚を見てまわった。スタンダードなメロンパンやアンパンも美味しそうだったが、それよりも僕は惣菜パンに目を奪われてしまった。まさしくあの時、高校の購買にあったあのパンたちと同じビジュアルで、すべての具がいい感じにはみ出していて気持ちが良い。

いろいろと迷った挙句にタマゴサンドとごぼうサラダサンドを手に取り、食べきれないだろうなと思いながらもレトロな印刷の袋に入ったシュガートーストを買った。どれも昔ながらの手作りパンという感じで、一口食べるたびに高校時代の記憶が少しずつ思い出される気がする。しかし溢れんばかりの具のおかげで胸が締め付けられるような記憶までは思い出さなくて済んだ。まさに学生にも大人にも優しいボリュームである。


ヱビスヤ

鹿児島県 いちき串木野市 元町220


※Friandise’sはフランス語で「おやつ」というような意味。

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